『妖怪の村』中村文則

なんか読みが浅い人間なので申し訳ないが、いろいろサルカニ合戦だのと寓話的な内容が書かれているけど、何を象徴しているのかが全く伝わってこない。主人公の感情も恐怖するにしてもくつろぐにしても起伏がないから、最後の鶴の忠告もまったく迫ってこない。
ただ、後姿のきれいな女性への偏愛や、下着への執着、政治家やめざとい企業家が勝手に物事をなしてしまう事への不快感、それらをおそらくは作者が抱えているのだろう事は伝わってきたが、独身男性としては凡庸すぎるそうしたものを今更感じさせられても。