連載終了『常夏の豚』矢作俊彦

なんか編集部との意見の相違が背景にあるかのような終わり方をしているのだが、実際はどうなのだろう。
しかし終わってみて暫くして実感したのは、やはりこの作品は、それなりに楽しい部分もあったな、ということ。矢作ならではの、いったいどこで仕入れるのか分からない、ネット情報や文献だけでは知りえない(としか思えないような)国家間的な、あるいは日本の僻地の情報があれこれ味わえたわけで。
しかし難といえばやはり、一ヶ月に一度の連載では話がこんがらがって見えてこないという事に尽きる。本筋が楽しめない。ただでさえ、矢作の作品はあいつが実はこういう事をやっていた、とかこいつと繋がっていたとか色々錯綜する作品が多々あるし、それくらい分かるのが読者だろう的なあまり親切でない書き方をする人でもあるわけで、連載に向いている作品とはいえなかった。週刊ではない文芸誌の連載にはあらすじは必須だと思うのだが、なぜどこもそれやらんのだ?
(『新潮』にはたまに載るが、当回の内容を了解できるようなものとは思えなかったりする。)