『遍路みち』津村節子

夫が死んだ作家であるとなると、吉村昭の事としか思えず、そうなるとどうみても殆どが事実としか思えない。となると、お互いの作品を読まないことにしていたとかそういった事実が興味深いし、何より、ほとんど一般人と変わる所のないくらいベタな悲嘆に暮れている所が胸を打つ。病院での「目を覚ますといない」のエピソードがよかった。ちょっとラストが文学的過ぎ余計なもののように思えた。