『さらばボヘミアン』松本圭二

この号の『新潮』でいちばん面白く読んだ作品。だが書きたいことは殆ど無い。高速のPAでカブトムシの幼虫を売る話が面白かったかな。
映画業界になにがしかの夢を抱いて上京という、今の時代にしてはあまりにアナクロな主人公の話だが、こういう青春小説的なものは、他の欠点を補ってしまうくらいに、いつ読んでもそれなりに面白いものだ。あの年代には何かマジックめいたものが確かにあるのだ。