『うそ』樫崎茜

現在を描いた場面での登場人物の台詞がやや作りすぎというか、格好よすぎる点はちょっとと思ったが、それを差し引いても短編としてオチがあり、上手く読ませるものになっているのではないだろうか。
谷崎由衣的な、予定調和的な台詞の雰囲気は若干感じられるが、それでもここにはどう転ぶか分からないという不安が登場人物にはある。それが感じられる。不安がなければ、女は男へ嘘をついたことがあるかなんて話は持ち出さなかっただろう。
文章に過剰な比喩や内省もなく、また回想部分も読みやすかったし、小学生の言動としてまあまあリアルではあったと思う。