『夏草無言電話』牧田真有子

なんか不可思議な小説を書く人だなあ。でも何かしら謎的な出来事を呈示することによって、読者を先へと導こうとするこの人のスタイルは決して悪くないと思う。ただ今回はあくまで印象としてだけど、主人公の友人のキャラをあまりに特異なものとして、しかも安易な形容をもって作ってしまったかな、という気はする。そして、時計の針を全てずらす事がなぜ主人公にとってそれほど救いだったのかという肝心の所もピンと来ない。隣人のおばさんはそれなりに存在感があった。また父の存在の薄さもむしろこういうのが現代的かもしれない。