『分水嶺の家』甘糟幸子

鎌倉。たしかに気候は最高。海は近く冬は山に北風を遮られる。その山を越えて大船あたりだとぐっと「感じ」が分かるのだが、鎌倉あたりに、しかも昔ながらの平屋などに住むような人々の生活は、まさしく私にとっては縁のない世界。文字通り「住む世界が違う」。これならば、19世紀の庶民の生活を描いた小説の方がずっと分かり合える。(たとえそれが錯覚だとしても。)これが階級意識って奴なんだろうか。