『ピアス』金原ひとみ

たまにこうして出会うことができる、金原ひとみの精神科に行こうとして電気屋だとか別の所へ行ってしまう短編シリーズ。むろん面白い。
今回は、耳の軟骨部分にピアスを入れに行ってしまうのだが、ピアスを施す人との会話がなんともおかしい。とくにピアスを入れる人がピアスに興味がなさそうという所など最高だ。
あまり考えず楽しみながら読み、よくこのように面白く書けるなあと後から感心する。金原ひとみというと、読んでいるこちらまで胃が痛くなるような、神経過敏な人が崖のギリギリを歩いてるような小説を書く人というイメージを持っている人がいるかもしれないが、ユーモアに溢れた人なのである。あるいはこういうユーモアを書ける人だからこそ、ギリギリも書けるのだろう。