『麝香猫』遠藤徹

これまた非リアリズム系。この手のものは私の嗜好性には合わないながらも、なんとか読めたのは山崎作品といっしょで描写がしつこくないからなのかもしれない。ただし描かれる内容自体は山崎作品と違って現実から更に遠く、遠いがゆえにこの描写ではやや迫力を欠くという事にならないのだろうか?
猫やトカゲや猿など出てくるのだが、異物としての恐ろしさみたいなものをあまり感じないのだ。どっかのんびりした感じすらある。
それでも冒頭のトラックが止まった理由だけは面白かった。がラストがいかにも予定調和的で、かつ、戻るべきところに戻るといった思わせぶりな台詞を主人公に言わせるところで大きく減点。このラストはいただけない。