『邂逅』山崎ナオコーラ

私がはじめて読む山崎ナオコーラの非リアリズム小説。非リアリズムとはいえ、極度に現実を離れているわけではなく、いってみればわれわれが普段見る夢をそのまま作品にした、といったら近いだろうか。だから、読んで暫くはいつものリアリズムかと思って読んでいたものだ。
こういう小説が楽しめるかどうかというのは、ひとつに、どれだけそこに描かれる情景が魅力的かどうかにかかっているのだが、わりと描き方が淡白で、人によっては単純で物足りなく感じるかもしれない。しかしむしろこういうタイプの小説であれば、くどいばかりに塗り重ねるように情景描写を行いたくなるのが普通かもしれず、この淡白さも山崎ナオコーラらしさといえるかもしれない。
ただし残念ながらあまり面白いといえないのは確か。