文學界新人賞選評

選考委員が変わって皆張り切ってる部分もあるのだろうか、選評も力が入っていてなかなか面白い。そうなのだ。純文学の新人賞って、新人賞の作品そのものを読むのより選評読むのが楽しいんだよね。たとえば島田雅彦とかときどき結構面白い事書いてくれたりしたもの。
今回は松浦理英子がいきなり斎藤美奈子に文句つけてます。今回の新人賞には直接関係無いのに結構な分量割いて批判している。まだボケるのは早いだろう、と。
松浦氏といえば以前たしか群像で、こういうテーマでコラム書けという依頼だったが、余りにも頭にきたので別の事書くと述べて、福田和也とあと誰かをホモソーシャルとかいって批判した記憶があるのだが、傍目にはなかなか激しい人という印象。日本人らしくないというか、こういう人はなかなか私は好きである。ただ、肝心の選評は当選作の事しか書いていない。芥川賞の選評はそういうのが多いのだが、新人賞の選評としては寂しい。言及されなかった落選した人たちはもっと寂しいのではないか。あるいは松浦氏のような厳しい人にメタメタにされるより良いのかもしれないが。
あとは花村萬月がかなり厳しい書き方をしているのが特に目を引いた。全て×じゃあ出直して来い!と言わんばかりの雰囲気。まず題名からして全部ダメじゃみたいな事を言うのだが、題名がダメという人多いよなあ。
全体的に今回は丁重だったようで、当選作も、前作と合わせて一本!みたいな話になってる。ようするに作品ではなく作者に与えた感が強いようだ。