『朋友』岡松和夫

大学で同級だった人間が、就職後若くして急死し、友人たちがその彼を偲んでいろいろ思いだす話。友人のひとりに左翼運動に熱心な人物がいて、その手の、私が好きそうな話も少しだけ出てくるのだが、雰囲気をちょっと伝えるだけ、という感じ。急死そのものに関してもあくまで突然死という感じで、とくに原因めいた話があるわけでもない。急死した人物の足跡を追っていくなかで、友人たちの知らなかった人物像が明らかになるのだが、まさか、と言うほどの意外性もない。
つまりは、総じていえば、私小説っぽいいかにも純文学らしい作品。こういう作品もあっていいとは思うが、それだけ。