『太陽を曳く馬』高村薫

過去の殺人事件をめぐるもろもろの話から、旧字体による絵画論までいきついて、やっとこさ今の話になってきたのだが、なんなんだろう、この事務局長の「語り」の面白さは。
彼のその怪しさ、底の知れなさを、地の文で安易に形容詞を使って表現してしまっているきらいはあるが、彼のその話し振りの面白さがそんな欠点を超越してしまっている。