『鳥の眼・虫の眼』相馬悠々

巻末コラムである。文学業界に一言申す的な内容の事が多く、真面目な侃侃諤諤といったところか。
先月号では城山三郎が亡くなったこととからめて、内向的な、あるいはアバンギャルドな現代的な小説に一言。
今月号では本屋大賞って何だよ騒々しいな、とこの新しい業界的な賞に一言。
このコラム、ちょっと保守的で言ってる事がオヤジ臭く、いかにも文芸誌を毎月買ってるようなオヤジ〜ジジイ層のはけ口になりそうな感じなのだが、今月号は私も少し共感なんである。


相馬さんは本屋ってのは落ち着いていろいろ選べるのがいいんだろう、というような事を言ってるが、別に本屋が何かをプッシュしたって私は構わないと思う。


いままでの本屋大賞をみて感じるのは、なんだ書店員ってやつはこんな凡庸なモノしか選べないような人たちがやってんのか、という事。
ディスクユニオンの店員を見習え、と言いたくなる。それこそ、あのくらい詳しくディープな人たちが、何かを選んで世に出すというならまだ分かる。ディスクユニオン大賞なんてやってないとは思うけど。
というわけで、これだけ凡庸なのだから本には詳しくても肝心の内容に関しては、たいして詳しく深くもないのがはっきりしてる。
いってみれば、コンサート会場の警備員に一番良かったのはどのバンドだって聞いているのと大差ない。そんなもの誰が知りたいのか。あるいは映画館でチケット売りや場内整理やってる人に映画のこと聞きたいか。


それに権威主義的な賞ではなく僕らが選びましたっていう姿勢がなんか反権威=ファシズムっぽくていやだし。そして一般読者に対しては、ちょっとは詳しいですから私たち、といういみで上に立ってるわけだ。
なんかイヤ。