『Parties言行録』横田創

自己愛の強い若い女性の独白で埋め尽くされたような小説。さしたるストーリーもなく。退屈で読み出してすぐ眠たくなるので、昼寝したいときなどにうってつけ。
そもそも文化祭的なノリというか、若いから許されるんだみたいなメンタリティーが大嫌いで。
"仲間"みたいな感覚も嫌だし、文化祭とかの出店なんかで、世に出れば全く通用しないシロモノなのに、半ば通用した気になってるような振る舞いがたまらなく嫌だ。
この小説も無鉄砲さや無計画さ、節操のなさ、が賞賛的に、しかも今しか出来ないからやるみたいな特権として描かれていて、退屈するだけでなくウンザリもさせられる。
そしてこの小説のもうひとつの欠点は、このような感性を持つような人物は、このような立派な表現をまずしないだろう出来ないだろう、という事だ。無鉄砲な若者が主人公の小説を読むときによく感じることだが。
あと小さなことかもしれないが、このタマキさんという不在によって語られ続ける人物が、どうしてそこまで魅力的でカリスマなのかがあまり伝わってこない。なんでそんなに入れ込むの皆、と。
ただ余りにも長いことそんな気分を味わったせいなのかどうか、ラスト近くではちょっとした感動めいたものがあった。タリーズだのNYカフェだのそういった身も蓋も無い飲食企業のチェーン店の光景を、それが至高の価値であるかのように描くのだが、なんとも言えないもの悲しさと、真実性を感じた。
ここにはまったく嘘が無い。少女的であろうとなかろうと、そうした資本主義の象徴的光景が、とても美しく切なく魅力的なものと映るという事は確かにある。
最後になって、やっとシンパシーを感じることが出来た。ただ、それまでが余りにも長い。