『ヘルシンキ』池澤夏樹

池澤夏樹は、昔、9.11に関する彼のエッセイを読んであまり良い印象を持たず、ずっと避けてきた作家。
この短編は、情景描写も、心理描写も非常によくできていて、流石という印象。
ただ池澤というと、コスモポリタンなイメージがどうしても纏わりついてしまい、これもそれを拭うどころか強化してしまっていて、他の作品を読んでみたいとは思わない。
なぜかは分からないが、コスモポリタンな日本人の書くものを読むのならば、たとえ翻訳でも、外国人の書くものを読みたいと思う。
ともあれ、こういう短編作品が書かれて、それに対する需要があるというのは、とくに悪いことではない。