『□(しかく)冬』阿部和重

体の一部を食してみたり何かを装着してみたりと少し90年代SFっぽい世界。いや90年代というのは、私がSFについては90年代までしか知らんからなのだが。ただ出てくる人物はまちがいなく現代に接続されていて、虚無的でありながらも、もはや虚無的であることが当然であるかのように絶望せずに生きていて、感触としては長編「クエーサー」の世界をよりSF的にしたような感じ。