『塵界雪達磨』日和聡子

群像のぶっとんだ作品に比べると大人しいが、ひとつの日和世界を築いてしまった感じだ。極端にいうと、スマホの地図アプリはどれが一番かを激論している日本昔話の登場人物たちみたいな。ただし、一見バカかこれ書いた人はと思わせつつ、一本、日和ならではの言語感覚が貫かれているので常人にまねできるものではないのは言うまでもない。そこにはやはり、優れた、人とはことなる観察眼があるのだろう。