『氷の像』澤西祐典

こういった評価はあまりしたことがないように思うが、この作品、丁寧に書かれ、しかも内容もよく練られていて、けっして素人が思いつきようもない、出来ない人には一生かかっても到達出来ないくらいのものであろう細部を含んでいて、それを十分に認めながら、作家としての力を十分認めながら、面白くないものは面白くないといわねばならぬ。どこもこれといって、ダメだこりゃなんてところはないのに、推すこともできない。スリーサイズも完ぺき、整った顔かたちなんだけれど、決して一流になれないモデルさん、みたいな。