『黙って喰え』門脇大祐

上記の作品では、肝心の理由(拒食にいたる道)が書かれていないことに何の不満もなかったのに、この作品ではオオアリだった。なぜ主人公は同棲女性の首を絞めたのか・・・・・・。心の闇みたいなものの存在を伺わせるような不可解な行動を描けば、その作品は文学として深いとか・・・・・・、まさかそんな感違いはしてはいないだろうが、どうにも、たんなる思わせぶりに思えて頂けない。確かにちょっとばかし足りないタイプの主人公という設定にはなっているのだが、それにしたって、もう少し「分かろう」とするのが人間ではないか。
また、旧知の人間からの訳のわからない手紙のその意味というか効果というかも、高度に過ぎるのか私にはピンとこない。