『すばる』 2012.4 読切作品

チキンクリスプ、二週間で飽きました。


先日の話の続きですが、産業界あげて再生可能エネルギーの開発に取り組めば、それが新たな成長分野となって景気も浮揚する、みたいな言い方もされますが、それに対して、イイ話ばっかりして大衆をダマそうとしてない?というツッコミはあまり聞かれませんね。更には、いずれ原子力もウランが尽きるのだから、いま再生可能エネルギーに舵を切れば日本が先行するとか、すごい意見もあったりします。
どこまで日本の産業界というものに楽観的なんだか。
NYダウやDAX指数、FTなどと日経平均を比べてみれば分かるのは、日本の産業界はボロボロになりつつあるということです。資金が明らかに逃げています。ユーロ危機で揺れたドイツよりも株価のパフォーマンスが圧倒的に悪い。NYダウなんか今更高値更新ですから、もし日経平均が同じようなパフォーマンスをしていたら、2万円超えているんじゃないでしょうか(今は8000円)。
一番大きな原因は円高です。他にも国内需要の減少が大きいのはむろん、世界的にも消費動向・構造の変化に機敏についていけてない(テレビに拘ったシャープ、スマホでは完全に後追い)とか色々あるのでしょうが、ゆくゆくこの国で電力供給が不安定になることを見越して資金が逃げているというのもあるように思います。
ところで原子力産業では、日本はまだ先行している方です。東芝、日立、三菱電機。世界に名だたるものです。日本製鋼所のようにその基幹的な部分をほぼ独占している企業もあるくらい。これが国内はもう新設しない、で、バカヒいや朝日新聞が主張するように輸出もダメとかになったらどうなるのか。日本がどれだけ先行しているかとか原子力を一切止めたときの影響は殆ど語られず、再生可能エネルギーでの成功が語られているのが、いまの日本の言論です。
アホくさいというか、先行している分野をわざわざ消滅させ、海のものとも山のものともしれない分野に金をつぎ込もうなんて、殆ど狂っているようにも思えますが、あれだけの事故があったのだから狂ってもしかたないのかもしれませんね。


こんなこと書くと、カネカネってカネのためなら何やってもいいのか、とか言われたり、原発停止に経済界から疑問とかいうとやれ利権がどうのとか言われたりするんですが、カネが全てとか言ってるわけじゃないのに。お前はカネがすべてかとか抜かす奴は、おカネを否定するあまりカネの大切さまで素通りしちゃうんですよね。原発反対運動の先頭に立っている人をみて、はて?この人はカネの大切さが骨身にしみて分かる人なのか?というのは、いちど考えた方がいいと思います。