第25回三島由紀夫賞発表

あまりふだん文学賞についてあれこれ書いたりしないのだけれど、今回の柴崎友香だけは相手が悪すぎたように思う。「私のいない高校」は事件的に傑作すぎる。芥川賞と差別化したいのかどうかしらんが、他の年の受賞作と柴崎作品を比べても、2作受賞でよかったんじゃないかなあ、と思う。この結果は、いくらそれも作家の運命とはいえ残念にすぎて、レコード大賞とかアカデミー賞みたいなイベントがらみじゃないんだから、もっと実質で判断して良かったのではないか。
柴崎友香の作品をずーっと気に食わん気に食わんと書いてきた私がこれだけ言うんだから、受賞は逃したが「わたしがいなかった街で」ひろく読まれて欲しいと思う。青木淳悟の小説は可・不可だけかもしれないが(もちろん私は可で受賞にも大賛成)、あれはほんとうにいろいろな受け止め方が出来る小説なのだ。