『不在』筒井康隆

申し訳ないが(と大御所っぽいのでつい謝ってしまうが)、筒井康隆のさいきんの小説で面白いと思ったことがない。
ばかりでなく何を書きたいのかが殆ど伝わって来ず、震災奇譚とあるが、この作品のどこに「震災」があるのかが、分からない。世界が女性だけになってみたり、震災のケガで寝たきりになって歳を取らなくなってしまったりする人が出てきたりするのだが、「あの日」が時をとめてしまうようなものであったり、世界のあり方を根底から変えるような日であったりするような見方を被災地から遠く離れた人がするならば、むしろ、たぶんそれは何も変わっていないということを示しているのではないか。
といって、変わらなければ、なんてことを言いたいわけではない。それはきっと無理。