『スリーナインで大往生』長嶋有

いぜん同様の趣向の作品を書いていて、その続きという作者自身の言及で思い出し、ここでの評価を見てみたら[面白い]だった。しかし今回は・・・・・・。
これが震災によって変わったということ?(まあ、そんな事は多分ないだろう。)
今一度前作を読み返すような時間も興味もなく、だから今回の評価も少しフェアではないのだが、恐らく内容的にもクオリティ的にも、それほど波があるような実力のない人ではないし、ここには前作なみの作品があって、きっと変わったのは私のほうなのだ。(くりかえすが、震災で、ではなくても。)
前作が発表された2009年から歳月がたって、引きこもり、だとかボスキャラ(ゲーム用語)、ユニクロといったタームが、あまりに古びてしまった印象で、そこがこの小説で一番残念だったとこ。
今の引きこもりは、もっともっと切迫感があるものだろうし、TVゲームも過去のもの。ふと気がついてみれば、グリーやモバゲーと綺麗に交代したかのようにRPGのCMなんか流されなくなっている。「ユニクロ」が持っていた微妙な、"買うのは抵抗無いけどちょっと恥ずかしい"的意味合いも全く薄れてしまった。いまや、イオンやヨーカドーやライトオンがユニクロのコンセプトを横取りするようになって、ユニクロが本家となって、ユニ着る人は堂々とさっそうと着ている。