『名の前の時間』丹下健太

幼い娘がなかなかつけられないペットの名前の話から、父親母親の名前をめぐるやりとりになり、そのやりとりのスケッチのなかで微妙な家族の関係をあぶり出す、といった趣向。
父親のノートなるものをみて、これだけの感慨しか思い浮かばない人間もたしかに大勢いるとは思うが、ならば、田舎のホームセンターとかで買い物をしている家族をぼーっと見ることと、この小説を読むことの違いが分からなくなってくる。