『新潮』 2010.8 読切作品ほか

ラジオをながしていたら島田雅彦さんがゲストということで暫く聴いてたんですが、ラジオということであの風貌と共に発せられないせいでしょうか、いかにも知性が乏しい感じで大丈夫かと心配になりました。
昨今の為替問題に絡めてゲストに呼んだということなのですが、村上龍ならまだしもこの話題で島田雅彦かと、まあ期待は殆どなかたんですが、はなしの抽象度が高いというか男性ホストも女性アシスタントもきょとんとした感じで、「なるほどー」みたいな雰囲気にあまりなりません。静かな問答に終始した感じ。
で、彼がいうには「地域通貨」だそうです。(柄谷行人かよ、と思ってしまう私は悪い世代です。)
なぜ地域通貨かというと、たとえばある地域内で生産される野菜なんかの一次産品なんかはその地域内通貨をもって消費されることで貧乏な人は少しでも助かるんじゃないか、という、そんな感じの内容で傍から見ても説得力がなくてハラハラ。野菜っていったって化学肥料や農薬なんか原料は殆ど輸入で、そのコストを負担した農家が地域通貨でペイされて満足するんですかね。無農薬でやったら虫や雑草のメンテでとんでもなく人的コストがかかりますし。
私も地域通貨のメリットとかよく知らないのでこれはともかくも、気になったのは、まあ貧乏になっても山河が残るからみたいな言い方をしていたことで、地域の助け合いみたいな共同体前提の言い方もあったし、なんだ何時の間にこの人は日本回帰したんだという。日本はもう無前提に自分の所有物みたいな言い方でしたわ。
金の無い人には当たり前のはなし山河もクソもないんですが。遠くない将来誰かが無償で土地を分配してくれるんでしょうか。あるいは山河を眺めれば腹が満たされるんでしょうか。
馬産地の例ではないですが、山河なんてものはアラブ資本でも華僑資本でもいいですから、金持ちに買ってもらって活性化したほうがずっと日本人は助かると思うんですがねえ。