『百年の献立』松本薫

専業主婦の話なのだが、地方では母子家庭でワーキングプアな家庭があったりするなか、恵まれた身分のくせに、たかが自分が家事マシーンになってしまってるくらいで悩むなーなどと言ってはイケナイ。絶対にいけない。誰だって悩みは主観的には大きいものだし、もともと文学なんてそんなものだ、くらいでいい。明治の頃だって、文学は金が余っている遊民のものだったのだからして。
不満がありつつも、ふだんからまとめ買いをしないとかそれなりにポリシーがある所が面白い。安物をまとめ買いをして冷凍庫へとかやっても、つい存在を忘れて品質落としたりして、管理が却ってたいへんで高くつくんだよね。ひき肉とか、炒めておいて小分けにしてとか絶対無理。スープベースを製氷皿に作っておくとか、マギーブイヨンでいいじゃんみたいな。
話小説に戻すと、ウーパールーパーがそんな色んなもの口にするのか良く分からず引っ掛かりを感じたが、このへんの小道具はともかくも、ラストで、ちょっと非リアリズム的に、子供に意識をえぐられ、投影された存在として、途中で語られた子供たちに晩御飯を尋ねていた奇怪な人が出てくる所はそれなりに盛り上がりがあり、面白かったです。カレー・・・カレー・・・カレー。
じっさいカレーみたいな化学調味料漬けに鈍感になるような食べ物は早いところどうにかした方がいい。