エッセイ『投稿歌の世界』穂村弘

星野智幸の小説を除けば、8月号の『新潮』でいちばん面白かったのはこのエッセイだろう。投稿歌のなかには、ときに玄人を思わず立ち止まらせる作品があるのだ、という趣旨なのだが、引用される投稿歌が何度読んでも笑える。最初の「あっ」も良かったが、牛についての歌と、エレベーターの底が出てくる歌が最高だ。
思わず笑ってしまう、それだけの作品なのかもしれないのに、鹿つめらしく解説している穂村弘のコメントもそれぞれ良い味出している。