『すばる』 2009.8 読切作品ほか

相模大野に行った話の続きです。
で、駅ビルに入った所までは書いたのですが、どんな店子がいたかというと、マックをはじめ、ユニクロ、無印、ボディショップとか、ABCマートだのライトオンだの、まあありがちな店はしっかりあって、これといって特徴があるとは思えませんでした。つまり、どこにでもあるような中規模の駅ビルが駅にあると。
で、近くを走る三車線の大国道16号線の方はどうかというと、ニトリありジャスコありブックオフあり、ホムセンなんかユニディあるは島忠あるはで賑やか、各ファミレスも私は利用しないので推測ですが、おそらく万遍なく出店しているんじゃないでしょうか。つまり典型的なロードサイドな感じ。
駅行っても国道行ってもそんな感じであれば、さぞや相模原という所は画一的で詰まらないのではないか。と想像する人もいるかと思います。しかし、個性がないとか退屈とか全然そんな事ないけどね。というのが今回書きたかったこと。
どこいっても道が同じ顔をしているとかそういう意味あいで、いっとき「ファスト風土」とか言われたりして、そういう言葉に飛びつく評論家さんもいたように記憶してますが、道はやっぱそれぞれの顔をしてますよ。並んでいる店がブックオフだのツタヤ、マックばかりだったとしても、走っている人間としては全く退屈しません。全く同じ勾配で同じカーブでなんて場所は、殆ど全くありませんからね。同じ3車線道路でも幅も微妙に違うし。
やはり「ファスト風土」とか言いたがる人も、都心の人なんじゃないでしょうか。ふだん、頻繁に車やバイクであちこち行かないような人。そりゃ、吉祥寺にしかない、下北沢にしかない、そんな有名店がごろごろあって、しかし富・人口が集中してるのでそれでやっていける、そういう恵まれた場所に暮らしている人が、頭の中で、どの道にもマック、ブックオフ、って想像しちゃえば画一的=退屈、って思っちゃうのも無理はないのかもしれません。


だいたい画一化っていったら、三越だの松坂屋だのの都心の百貨店なんかだって何十年も前から画一的だった訳ですから。一階には女性向けの化粧品、靴、ハンドバッグ。で、中ほどにエスカレーターがあって、上へ向かってヤング婦人服、ミセス、紳士服、生活雑貨、本屋、一番上がレストラン街。で、地階は食料品売り場。
どの百貨店も、じつに画一的でしたね。たとえば池袋の西武と東武なんかあんなに近いのに殆ど同じような構成だったような。あれならよっぽどラゾーナ川崎とかららぽーと横浜の方がそれぞれ個性があって違います。この手の大ショッピングセンターについてよく、「大規模商業施設はどこも一緒の光景」なんて言われるのですが、それこそステロタイプという気がします。お前の言い方こそ画一的だよ、という事です。
確かに、ぱっと見赤い白抜きで、UNIQLO!みたいなテナントの分かりやすい同一性はありませんでしたけど、じゃあ昔は個性的だったかというと、似たり寄ったりの商品を、似たり寄ったりの売り場で売っていたことはまず間違いのない所で、結局、ターミナル駅周辺の画一化が、郊外ロードサイドに場所を移しただけ、ただそれだけの話と言いたいところです。昨今勝ち組ばかり目立ち、分かりやすく均質に見えるというだけの話で、「ファスト風土」とか言って懸念するような事態はとっくに起きていたんじゃないか、今更何?と。


そういえば、不動産みたいに、それほど資本が国際的に集約されていないような分野では、むかし練馬あたりに出現した大規模団地なんかより、昨今のマンションのほうが、よほど工夫されててそれぞれ個性的だったりしませんか?
なんて事も思ったんですが、長々退屈なこと書きました・・・・・・。