『ピッグノーズDT』海猫沢めろん

この間読んだ作品でも、思わず刑務所での習慣で大きな声で返事をしてしまう所だけは面白かったりしたのだが、この作品のほうが笑い所は沢山だ。なかで、女の子の趣味として考えれば微笑ましく思えてくるサブカル趣味が、じつは男?だったりすると、それ、ただ単なる音楽オタクじゃん、って認識ががらりと変わる所は面白かった。これは分かるなあ。
最初のうちは、今更こんなマイナー音楽の固有名詞あげるのも文学のやり方としてなんだかな、と思って退屈も少しあったんだけど、ラストにかけて、いわゆる有料ハッテン場に赴くあたりは、なかなか笑えた。ヤリ部屋とか、かつてホモ雑誌を購入した事のある私はじつはそこそこ詳しいのだが、恐ろしい病気が蔓延した今も残ってるのだろうか。(ネットでみれば分かるのだろうがエロ系のサイトはなんか怖くて。)
そういう意味では、きっと作者はディテールもよく調べていて、あるいは知っていて、よく書かれた小説だなと感じはしたが、ただのコメディという感じも読み終わってみると正直否めない。