『赤い蒲団』飯田章

隣の家の元気な犬が元気がなくなりやがて死んでいくまでを語り、そのなかで、それを自分の人生とまたかつて自分が飼っていた犬の死と重ね合わせるリアリズム小説。
生命に執着しないかのように死んでいった隣の家の犬と、執着しボロボロにまで生きた犬とのあいだで漂うある老年の人生といった所だが、こういうトリッキーでないごく普通の純文学も存在意義は充分あるだろうと思う。なんの変哲も無いと人はいうかもしれないが、こういう雑誌は色んな読者がいていいのではないか。雑誌がどんどんつぶれてくなかで、そういうのは情報系の趣味的雑誌に限られ純文学雑誌は数少ない例外だと信じたい(だってWEBで小説など読むの面倒でしょ明らかに)が、少しでも読者が多いに越したことはないから。