『末摘花−源氏物語特集より』町田康

町田の作品は読むつもりがなかったが、冒頭の数行をよんでいるうちに全部読んでしまった。町田の文章力はそれだけの引力を持つといくことで、それだけでもすごく評価すべきことなのだろうが、この作品は強引に町田的文章に源氏の内容を押し込めただけのように見えた。やはり現代人の心情との齟齬が浮かび上がる結果となった。町田の文章はやはり現代の文章なのだ。それはわれわれを描くのには非常にマッチしている。
なかで、頭の中将のいやらしさがとても面白く描けている。