『高畠素之の亡霊(二)』佐藤 優

やはり『私のマルクス』よりも評論的記述が多く、あれほどは面白くない。面白くないが、今やそれほど著名でもないマルクス研究家の事を書いてここまで読ませることができるのは、素直に佐藤の力だと思う。今のままだと日本の左翼の源流の頃の話だが、これが新左翼が生まれる頃とどうつなぎ合わされるかによっては面白くなりそうだ。あるいは、新左翼のハデな部分を中心に考えられがちな日本の左翼運動の、そうでない忘れ去られ様としている部分に焦点が当たるとすればそれもいい。