『小説と評論の環境問題』高橋源一郎+田中和生+東 浩紀

鼎談が行われたきっかけは高橋×田中なんだけど、より深い対立は東×田中といった雰囲気。
東 浩紀・・・近代社会の病巣でもある近代文学を葬りたい
田中和生・・・自分のメシの種としても近代文学を残したい
高橋源一郎・・・近代文学を葬る意義は認めつつ愛してしまって葬れない
と、こんな感じだろうか。
読む前は、田中和生ってけっこういい男じゃんと思いつつ、2人に相手にされるかどうか不安だったが、より深い対立が東との間にあるため、けっこう話しに搦めてはいる。
とはいえ、都市問題で反動保守としか思えない仲俣暁生を爽快にDISってくれた記憶のある東浩紀の発言がいちばん面白く、彼を討論の場に呼んだ高橋源一郎はそういう意味で正しい。東への、小説を書いて前より小説のことが分かったかという問いに、そういう事はぜんぜんない、と言われちゃってたりするのだが。
それでも高橋は、後半では小説家の立場について東から譲歩を引き出すことに成功している。東の話をいちばん面白く思って読んでる私は、それでもラノベなぞ少しも面白いと思わず近代小説が好きなのだから、高橋源一郎以上にいい加減な奴なんだろうな。
来月号も続くらしいが、総じて、すすんで読みたいとは思わない内容。