『アンジュール』樋口直哉

小さい頃食パンを良く食べる犬がいて、その犬が死んで埋めたとき近くの川に食パンを流して供養した、そんな回想を含む話なのだが、不思議と心にひっかかってこない。パンの作り方を教える男性も、食パン犬を買っていた気丈な女性も、女性の父親だった男も、登場人物の誰もが印象として薄い。パンの作り方を教える男の感情の動きも共感に乏しい感じだし。何も残らなかった小説。