『デンマ』金原ひとみ

デンマというのは何の事かと思ってたらそういう事かW、というショートショート的な、金原ひとみにしてはややコミカルな作品。かなり楽しく読める。タクシーの運ちゃんがとても良い。シリアスな小説としてみても、精神的に不安定な人が、ほんとにちょっとした事で浮いたり沈んだりする様子を見事に捉えていると思う。じっさいそういう所ってあるんのだ、というのは。多少経験的にも分かる。
しかし、金原ひとみは面白いものしか書かない人である。エッセイまで含めて。
全作品を読んでいないのでタマタマなのかも知れないが、私が今まで読んだものに関しては全てが面白い。この私の評価をたんなる贔屓目だろうとタカをくくるなかれ、と思う。