『あまりに野蛮な』津島佑子

最初のうちは "あまりに退屈な" 小説だったけど、徐々に過去の植民地時代の台湾に渡った女性のプロフィールが明らかになるにつれ、少しづつ人物の陰影感があらわれてきた。
台湾の現地民たちと入植者との大規模なトラブルについては、恥ずかしながら知らなかったのだけれど、あまりに野蛮な、の野蛮というのはこのへんの事も含めてなのかどうか。
あまり物語としてのダイナミックな起伏はなさそうな気もするのだが、野蛮さを広がりのあるものとして、つまりパーソナルな出来事ではなく、社会的事件のほうに比重をおいて描いてくれると個人的には楽しめそうなのだが。