『決壊』平野啓一郎

今月は、クラスメイトの少女の写真をネットにばらまいた少年のその後が中心。
あれだけ計画的に首尾よく少女の写真を盗み、ネットにアップし、少女にメールしたのに、その後、いかにも怪しげな様子を振りまきながら、少女の家を尋ねてしまい母親に疑われるというこの整合性のなさ。
さすがとか言いようがない。
これが大人の行動だったら?なのだが、思春期初期の人間のとる行動として、この整合性の無さこそ、リアルというものだろう。
一方では、主人公の父親の鬱的なものが再発?したらしい。これもどうなるのか。
相変わらず緊張感は高くキープされていて、むかしの島田雅彦の郊外をテーマにした小説のようにどんどん詰まらなくなっていくところは全くない。