2008-08-06から1日間の記事一覧

『ドストエフスキー「白痴」について』山城むつみ

こちらは不定期掲載だが、これが一番面白かった。丹念に読んでいくと、なかなか気迫に溢れていて好感がもてる。それは、ドストエフスキーを読んでいなくてもここで行われている議論に説得力を感じてしまうくらい。とくに暴力をふるうものにしか感知できない…

『巨人伝説』野口武彦

幕末不戦派なんとかの続きという感じ。当時の世相を細かく追っていて面白い面はあるが、人物描写が通俗的な時代物とあまり変わらないくらい平板で単純でリアリティを欠いている所がある。表現が大げさというか。これはでも仕方ない事なのかもしれない。近代…

『横光利一の旅愁』関川夏央

戦前のころ、ベルリンオリンピックなどでこんな事があった、横光はそのときこう行動した、というのを淡々と書き綴るだけで、余計な心理描写を一切していない所が特徴か。そういう意味で上記長島作品よりもあの時代とかに興味がないと楽しめない傾向があるが…

『背中の記憶』長島有里枝

上州女性は気丈だ、という感じの、つねに勝気な祖母の追憶を平明な文章で綴る。普通の伝記文という感じでイマイチ興味が沸かないのは、今の段階では仕方ないのだと思いたい。そういう出来。

『群像』 新連載短評

なんか今年の夏って例年より涼しくありませんか、なんて書いていた私は大ばか者だという事を実感する毎日です。 今日はとても短く書きます。