『来星』原田ひ香

今まで散々悪口を書いてきた分フォローするわけでは決してない。しかし、なんか時代と添い寝したかのようなキャッチーなテーマを持ちだして、話題になることを狙って書いたかのような作品に比べれば、この作品はずっとずっと良いと思う。まだ少し既存の小説っぽいところがあったりするけれど、だいぶリアリズムに近づいてきて、主人公の境遇が自分とかけ離れている分、記憶にもたぶんあまり残らないだろうし、傷もつけていかないだろうけれど、ぜんぜん好感のもてるものになった。