『にゃあじゃわかんない』藤野可織

あきらかに猫のようなのにいかにも人間の姿形をしているかのように描写したりして、あいかわらず普通のリアリズム小説は書くつもりはないようで。クマだか人だか分からないふうに描いた多和田葉子の小説を読後に思い浮かべたりもしたが、似たところは全くなく、たんに文「芸」要素を強く感じ、技術的にはなんかどんどん上手くなっているんじゃないか、と。そのぶん、ここでイジメ問題なんかが顔を出してしまうのが、すこし取ってつけたように感じられてしまったりもする。けっして自分にとって切実でないものは扱うなとか言いたいわけではない。が、当事者問題(当事者であるかどうか問題)というのは、やはり難しいものだ、と思う。