『野良猫のニューヨーク』高橋三千綱

いちども読んだこと無いけどなんか懐かしい名前。で読んでみるが、私小説スタイルで老年に差し掛かった主人公が大金はたいて作った映画をなんとか軌道に乗せその大金を何とか回収しようと走りまわる話(だったような)。詳しいところは忘却の彼方だが、主人公が小説家かなんかで結局ハッピーエンドだったことは覚えている。なんだかんだいってこれだけの量のものを面白おかしく読ませる技術があることは確かなのだが、基本的にはたんなるドタバタ劇だし、主人公の無頼派じみたところが絶滅種と思わせ、文章の形容なんかも少し古いかなあとも感じさせたりするのは、私の偏見ばかりではないように思うのだが。
ちなみにこの号のすばる、連載以外この小説しか読むところがなく、とくに大飯原発と「ニソの杜」なんかは一文字も読まなかったが、これでは怖くて定期購読なんか絶対できない。