《特集「12星座小説集」》

内容をうっすら覚えているのは橋本治荻野アンナくらい。私がほとんど常に評価していない戌井昭人島田雅彦がそこそこ読めるものを書いていて意外だったのを覚えているが、中身は思い出せない。
橋本治荻野アンナともにすでに確立されたといってもいい持ち前のスタイルで、明治になって転身する武士のひとりを、ガンにかかってあれこれふりまわされる現代人を描く。怪しげな療法のことを荻野アンナらしく面白おかしく書くところがいい。その裏には想像を絶する葛藤があるのをわれわれは知っている。