『エッグ』野田秀樹

いっけん娯楽作品にみえて、満州とか731とかをベタにならない程度にそれとなく織り込む。しかも、日中関係が云々されているタイミングで。このいかにも私は良識派でございます的な振る舞いはもはや醜悪ですらある。芝居を金払って見るような財布に余裕のある観客はその了解済みの事実(=日本は悪い事をした)にふたたび反省なんてものをなさるのであろう。エリートリベラルが朝日読んで頷き、頷くだけでものごとは完結し、その保守性を疑うことは決してない状況に似て。で、救われなければならない人は、新聞を買う金もなく。