『電線と老人』中原文夫

強力な連載陣を除けば、小説ではいちばん巻末のものが面白かったという結果に(すいません原田マハさんのは読まずに言ってます)。死をやたらと恐れ、日々綿密に計画を練って、診療科目ごとにもっとも良い医者をもとめて病院通いをする金持ち老人を扱っている。こんな奴はとうぜん無保険でやるべきで保険使われたらたまんねえなあと思うが、ここまで戯画的でないにせよ、いまのわが国の老人の一面には迫っていると思う。電線を見ていると心が和らぐという訳の分からなさも面白かった。このわけの分からんところが現場であったりするのだ。