『水杙』松浦寿輝

つまらない小説ばかり続けて読んだせいか、好感度高し。日本のごく一部に見られたギリシャバッシングみたいなものに抗するように、南欧と比べて日本の街行く人を悪しく思うのもいい感じだし。まあ、神楽坂あたりの風情が変わってしまったのなんかは、バブル崩壊以降の地方都市の惨状考えれば、ぜいたく言うな、ともいえるかもしれないが、この松浦氏の小説の主人公がそれでもまだ共感を覚えさせるのは、半分以上現在にたいして諦めている感じがすること。リタイヤした中高年の屈託がよくでている。