『すばる』 2011.9 読切作品ほか

今更ですが、古内東子さんは、やはり天才だと思います。


正確には、もしかしたら天才だったというべきなのかもしれませんが。何しろあの大名作『hourglass』以降の数作までしか聴いてませんので・・・・・・。まあ、おそらく音楽関係のひとがここを覗く可能性は低いでしょうから、こんなふうに書いてもいいのではないかと。
で、どのへんが天才かというと、あの歌いまわしの独特な感じですかね。メロディーの形作り方に非常に特徴があって、グルーブ感、ノリを大切にしているというか、ヴォーカルをひとつの楽器として扱うとでも言えばいいのか・・・・・・。
もとはといえばあの大名曲"誰よりもすきなのに"が最近誰かにカヴァーされていてそれをたまたま耳にして、でもこのあっさりとした歌い方は「違う」だろ、と思っていたところ、それが記憶から落ちないうちに今度はユーチューブで誰かのミュージックビデオを見ているうちにこれまたたまたま古内さんのツアーの映像が引っかかってきて。
結局古内さんが一番売れていた頃に彼女のライブに行く機会はなかったのですが、こんなに高度なものだったとは。CDがずいぶん作りこまれた練られたものだったのでそれが予想以上にライブで再現されていることにたまげてしまいました。VHSのアナログビデオの頃のものだから、もうこの映像、手に入らないんですよね。


でCD棚の奥から引っ張り出してきて、ここ暫くまた何度目かのハマリをしてしまっているのです。
今思うと、ウタダヒカルとかが出てきて以降、リズムアンドブルース系の黒っぽいノリを持った歌い手がけっこう出てきたわけですが、リズムの取り入れという面から言えば、古内さんはそれらより時期的には遥かにはやく、しかも和製R&Bみたいな借り物っぽさのない洗練されたオリジナリティを持っていたわけですから、それらはほんとに驚くべきことで、当時アレだけ売れても、それでもまだまだ過小評価ではなかったかとも思います。


というわけで、今日はこれからまた「すばる」についてひきつづき書くのですが、もう書きたいことは殆ど書いてしまいました。