『文學界』 2011.6 文學界新人賞その1

ほんの少し前までジャンパーを着てバイクに乗っていたのですが、先日のいきなりタンクトップで乗っても暑いというのは一体どういう季節の展開なんですか。しかも夜中の10時ごろまでタンクトップで走れてしまうという。
・・・・・・
と、暑さについての文句をこのブログで垂れるのはもう何度目でしょうか。それを思うと我ながらそのこと(繰り返し)にもうんざりしますが、暑くなると背骨が痛くなったりして、気分だけでなく変調きたすのですから仕方ありません。


そういえばバイクといえば先日こんな事がありまして。
住宅街を貫通する道をツーと単独走行してまして、で前を走るクルマが現れたのですが、ノロノロです。確かに30キロ制限でしたが、住宅街とはいえ交差点に信号機が設置されてセンターラインのある道路をそんな制限速度どおりに走る事じたい、非常識とは言わないまでも邪魔くさいというか教習車くらいしかそんな走り方しないわけで、「早くしろよ」のプーーーーではなくちょっと「追い抜きますよ」的にプッと鳴らして追い抜こうとしたのです。車高の低い怪しげなクルマとかベンツだったらそんな事しないんですが、典型的なコンパクトファミリーカーでしたし、少し走った先にある幹線道路との交差点の信号につかまると3分くらい(体感的には5分くらい)待たされてしまうので、このくらい当然だろ的軽い気持ちでした。
そしたら、普段クラクションをあまり鳴らさないんでスイッチが汚れか錆かなんかで固まってしまっていたらしく、クラクションボタンが戻らず、プーーーーーーーーー、と派手に長く鳴らしながら追い抜いてしまったのです。(スイッチは引っ張ったら戻りました。)
それでも例の長い信号にはつかまってしまったんですね。
暫くするとノロノロ運転のクルマも追いついてきて、すぐ後ろで私と同様に信号待ちしました。
なんか気まずいなと思いつつも、大した事にはなるまい、と思っていたら、なんと運転手が降りてくるじゃないですか。痩せた中年男性です。
でバイクにまたがった私のすぐ横に来て、
「さっきのは何だ?、おぅ?制限速度どおりに走ってよぉーなんでクラクション鳴らされるんだぁ?答えろよ!なんか言えよ!!クラクション鳴らしたんだろ?理由があるんだろ?言ってみろって!」
みたいな事をまくし立てられたのです。(ま、つまりそんな時間があるくらい長い待ち時間の信号なんですねえ。)
で、私はただ相手の顔をじっと見ているだけでした。強がるわけではないですが、相手が相手だけに(なんか奥さんがヨーカドーの安売りで買ったみたいな服装に大人しい髪型でした)、べつにビビっていたわけではありません。何を思っていたんでしょうか。少し口臭がしたのは覚えてるんですが・・・・・・。
今思えば「スイッチが壊れて・・・」とか言い訳すればというのもあるのですが、「ちゃんと整備しとけ!」で返されればそれまでです。でもだから言い訳しなかったわけでなく、たんに口が動かなかった。というかああいう状況でそういう論理が働く脳みそに私のそれはなっていないらしく、口げんかをして勝ったとか相手に痛打を浴びせた記憶は殆どありません。
で、暫くしてほんの少しづつ冷静さが入り込んでくると、今度はとにかく揉め事は回避しておこう、という方向に動きます。取っ組み合いしても勝つ自信は全くありませんし。そのおかしな冷静さの典型的な例が、歩行中自転車にベルを鳴らされて「ちっ、うるせえよ」とつい口に出して言ったら「おう、なんか文句あるのかよ」と言われて、「お前にうるさいっていったんじゃない」とか訳の分からない言い訳をして、少し冷静になると「いや、あなたに言ったんじゃないのは本当だが、あれではそう思われても仕方ない。もし気分を害したんなら謝る。」という事例で、いち早く謝ったのは誰でもない私のことなんですが。


文學界の新人賞の号を手に入れたので、3、4、5月号飛ばして書きますよ。