『家族ゼリー』吉村萬壱

ハッテン場で二人の男性がアレをして、と読んでいると、二人が家族だったというとんでもないオチ。まあ参加する家族は、結局彼ら二人だけではないんだが、驚きの連続で参る。傑作だろう。
どんな別れや死や、病気などを描こうとも、この小説のここまでの行き場感のなさには決して勝てまい。墨谷渉とかになると、それ自体が官能に結びついたりするのだが、この小説ではそんな事がありえるのかどうか。ありえるとしたらなんとも怖いのだが、こんな状況でも生きていってしまうのだ人間というものは、と言われているかのようでもあり、願わくば多くの人にこの小説を試して欲しいものだ。