『新潮』 2008.11 読切作品

ふと思ったのですが、私が少年の頃あったもので今無くなったものとして、歌謡曲がありますね。
ほんと、どこへ行ったんでしょう。今はもうおそらく「歌謡大賞」とか「レコード大賞」もないんでしょうね。いや、あるとしてもテレビではやらないんでしょう。年末年始はNHKしか見ないのでよく知らないのですが。(ちなみに年末年始のNHKは紅白とかじゃないですよ。NHKって年末とか盆休みに結構良質なドキュメンタリーやるもんで)
あんな下らないもの無くなっていいんだといえばそれまでですが、確かにアイドル系の歌唱とか酷かったものの、松崎しげるとか沢田研二とか小柳ルミ子とかそれなりに聴ける人は、それなりに面白い曲やってた気がするんですが。たいてい歌謡曲というのは、自分が歌うわけではなく人に歌わせる訳だから、歌い手のキャラに依存しない普遍的な歌が聴けたように思うのです。例えば『ブルーシャトー』とか、日本人の日常と全く関係のないような、けっこうヘンな歌です。森に囲まれた青い城で恋人が待ってるような状態の日本人の男なんて、そんな人どこにもいなかったでしょう。
今だって、いやつい最近までだって、アムロ+コムロとかモームス+つんくとか(←有名どこしか知らない!)歌い手と制作者の分業というのはあったんですが、どうも歌い手がたんなる歌い手という気がしないし、制作者の顔もなんか見え過ぎで、どうも古の歌謡曲とはなんか違う。
リズムが早くなったり、オクターブ飛ばしたメロだったりで、口ずさめないというのも大きいかも。あ、これは私がたんに音痴でトシなだけですか。